2025年05月7日
こんにちは、訪問歯科診療を専門とする歯科医師の平形です。
訪問歯科診療では、高齢者や通院が困難な方々のお宅や施設を訪れ、歯科治療や口腔ケアを行っています。
その中でも、歯科衛生士による口腔ケアは、患者様の健康維持において非常に重要な役割を果たしています。
皆さんは「口腔ケア」が全身の健康に大きな影響を与えることをご存じでしょうか?
実は、口腔内の衛生状態が悪化すると、全身にさまざまな悪影響が及ぶ可能性があります。
その一例として挙げられるのが誤嚥性肺炎です。
これは、食べ物や唾液と一緒に口腔内の細菌が誤って気管に入り、肺炎を引き起こすものです。
高齢者や体力が低下している方では特にリスクが高く、適切な口腔ケアがその予防に直結します。
さらに、口腔内の細菌は血液を通じて全身に広がり、心疾患や糖尿病の悪化にもつながる可能性があります。
特に、糖尿病患者では歯周病が悪化しやすく、逆に歯周病が血糖コントロールを難しくするという悪循環も知られています。このように、口腔衛生と全身の健康は切っても切れない関係にあるのです。
訪問歯科では、歯科衛生士が定期的な口腔ケアを行い、歯や歯ぐきの健康を保つことをサポートします。
具体的には、歯のクリーニングや義歯の清掃、口腔内のマッサージなどを通じて細菌の繁殖を防ぎます。
また、患者様ご自身や介護者の方々に対して、日常のケア方法についてアドバイスを行うことも重要な役割です。
例えば、歯磨きの仕方や義歯の取り扱い方を指導することで、日常生活の中で継続的な口腔ケアを実現できます。
口腔ケアは単に「お口をきれいにする」ことではなく、「全身の健康を守るための基盤作り」です。
定期的なケアを受けることで、感染症リスクを低減し、体力や免疫力の維持にも貢献します。
訪問歯科診療を通じて、私たちは患者様が健康で快適な生活を送れるようお手伝いしています。
もしご家族や周囲の方で、お口の健康に不安を抱えている方がいれば、ぜひ訪問歯科の活用をご検討ください。
訪問歯科は、患者様だけでなくご家族や介護者の方々にとっても心強い存在です。お気軽にご相談ください。
私たちは、口腔ケアを通じて皆さんの健康を支えるお手伝いができることを心から願っています。
2024年05月22日
皆さんこんにちは、歯科医師の深谷です。
今回は治療の中断の危険性についてお話をします。
「痛みがなくなった」、
「仮の歯で問題なくかめる」、
「回数が多くて面倒くさい」、
「仕事が忙しい」
などの理由で治療を中断してしまったことはないでしょうか?
実はそれ、とても危険です。
虫歯治療の場合、なるべく早期に治療を行うことで、歯を削る量を最小限に抑え、治療回数も費用も少なくすることができます。
虫歯治療を中断すると、虫歯がどんどん進行し、やがて神経にまで広がり、何もしていなくても痛みを感じるようになります。
神経まで虫歯が広がると、根の治療が必要になり、治療回数や費用が増えます。
また、ご自身の歯を削る量も多くなります。
根の治療を中断すると、細菌が根の先端の方まで広がります。
根の先端まで細菌が到達すると、歯茎が腫れて痛みがでたり、膿がでたりします。
最悪の場合、抜歯に至ります。
歯周病治療も同様で、細菌が歯を支える骨にまで広がると抜歯になる可能性があります。
歯を1本でも失うと、インプラントやブリッジ、入れ歯など、より期間や費用のかかる治療が必要になります。
いずれにしても治療途中で通院をやめてしまうと、取り返しのつかない状態になり、後々さらに大変な治療が必要になってしまうので、根気よく通院しましょう。
当院の歯科医師、歯科衛生士、スタッフが全力でサポート致しますので、一緒に頑張りましょう!
2023年12月12日
こんにちは。歯科医師の深谷です。
だんだんと寒くなってきましたが体調に気を付けていきましょう。
今日は食生活と歯ぎしり・食いしばりについてお話をします。
歯がかける、起床時にあごがこわばっている、夕方になると頭痛がする等の経験はありませんか?
これらの症状が頻繁に生じる方は、歯ぎしり・食いしばりをしている可能性があります。
そもそも歯ぎしり・食いしばりはブラキシズムと呼ばれ、以下の3つに分類されます。
1.グラインディング:歯をギリギリ擦り合わせること
2.クレンチング:歯をグッと食いしばること
3.タッピング:歯をカチカチ噛み合わせること
上記の歯ぎしり・食いしばりがあると以下の健康リスクが高まります。
1.歯がかける
2.虫歯、歯周病
3.顎関節症
4.頭痛、肩こり
歯ぎしり・食いしばりは、お口の健康だけではなく、全身の健康にも悪影響を及ぼすため、早期に改善することが重要です。
歯ぎしり・食いしばりを生じる主な原因はストレスと言われていますが、普段の食生活も影響しています。
特に就寝前に糖質の多い食事を摂るとリスクが上がります。
就寝前に糖質の多い食事を摂ると、食後に上がった血糖値が睡眠中に一気に下がります。
それを回復させるためにアドレナリン等のホルモンが分泌され、血糖値が一気に上がり、血糖値の乱高下が起こります。
これがストレスになり、交感神経が優位になって、歯ぎしり・食いしばりの原因になります。
歯ぎしり・食いしばりの改善のためには、まず、普段のストレス度合いをチェックし、生活習慣の改善が必要です。
それに加えて、食事内容や食事のタイミングを見直していきましょう。
これらを意識することで、歯ぎしり・食いしばりだけでなく、全身の健康状態の改善にも繋がっていきます。
当院では管理栄養士による栄養指導もおこなっております。
ご自身だけでは改善が難しいと感じる方は、是非ご来院ください。
2022年03月2日
こんにちは、歯科医師の鈴木です。
本日は、小さなお子さまがいらっしゃるお母さん、お父さんからよく質問を受けるフッ素はいつから使った方がいいのか?についてお話します。
まず、フッ素はなぜ使った方がいいのか?についてご説明します。
歯科において、フッ素の利用方法は、ご家庭での歯磨きジェル・歯磨き粉やフッ化物洗口、歯科医院での高濃度フッ素塗布などいくつか種類があります。
その中で、0歳・1歳・2歳・3歳のお子さまが利用できるフッ素はご家庭での歯磨きジェルと歯科医院での高濃度フッ素塗布の2つがメインになります。
これらを利用することで、歯がむし歯になりにくくなったり、むし歯になりかけている歯(白濁)が改善するなど、むし歯予防にはフッ素の利用が最も効果的だという研究結果も出ています。
では、いつから始めるか?についてですが、これについては、歯が生えたら始める!が良いかと思います。
子どもの歯(乳歯)も大人の歯(永久歯)も生えたばかりの時期がむし歯になりやすいと言われています。
ご家庭でのフッ素入り歯磨きジェルを毎日使用し、数ヶ月に1回歯科医院で高濃度フッ素塗布を受ける。この2つをしっかり行うことがむし歯予防にはとても重要です。
また、時々「フッ素って身体に悪いんじゃないの?」という心配をされる方もいますが、フッ素は私たちが日頃から食べている多くの食べ物の中にも含まれています。
おそらく多くの方が心配されているフッ素中毒などは、フッ素を過剰摂取した場合に生じるもので、上に記載したような歯科でのフッ素の利用でそのようなことが起きることはまずありません。
正しい時期に正しくフッ素を使うことで、その先の何十年もの間にむし歯になるかどうかが左右されてしまう可能性もありますので、小さなお子さまがいらっしゃる方でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
2021年12月7日
こんにちは、歯科医師の鈴木です。
本日は「歯科受診率」についてお話します。
歯科受診率とは、歯科を受診している人がどのくらいいるのか?を示す数値です。
日本はこの歯科受診率が低いことが知られており、本日は歯科先進国のアメリカとスウェーデンと比較していきたいと思います。
まず、定期検診の受診率を比較すると、
スウェーデン:90%
アメリカ:80%
日本:2%
という調査結果があります。
また、日本でも80歳なったときに20本自分の歯を維持しましょう!という「8020運動」というものがありますが、80歳時点での平均残存歯数を比較すると、
スウェーデン:25本
アメリカ:17本
日本:8本
となっています。
このことから、歯科の定期受診が将来的な歯の健康に大きく影響を及ぼしていることが分かります。
あるアンケート結果では、日本人は「お口の中に何らかの違和感や異常を感じている」と答えた人の中で歯科を受診する人は約20%しかいないそうです。
何か異常が起こっていても大半の人はそのまま過ごしてしまい、我慢出来なくなるくらい痛くなったりしたときに初めて歯科に受診するという状況です。
歯というものは、痛みを感じ始めた頃には病気がかなり進行してしまっていることが多くあります。
それは、初期のむし歯や初期の歯周病は痛みを感じにくいからです。そこから病気が進行し、中程度〜重度になった頃、痛みとして自覚できるようになります。
痛くなったら受診するのではなく、定期的に歯科を受診することで痛みが出る前に病気を見つけることが出来たり、早めの治療を受けることが出来ます。
おかげさまで、当院へ通ってくださっている患者さんはみなさんとても意識が高く、ほとんどの方が定期受診をしてくださっているため、スウェーデンやアメリカと比較しても変わらないほどです。
もし最後に歯科を受診したのが1年以上前になってしまっている方がいれば、一度歯科医院への受診をおすすめいたします。
2021年07月24日
こんにちは、歯科医師の熊澤です。
夏に入り、群馬県はかなり熱くなってきましたね。
本日は審美セラミック治療、いわゆる白い詰め物についてお話しようと思います。
みなさんは審美セラミック治療についてどんなイメージを持っていますか?
見た目が良い?虫歯になりにくい?様々だと思います。
セラミック治療はセラミックス(陶材)のブロックを接着剤(むし歯治療で使用されるプラスチックに似たもの)を使用してつけることを指します。
セラミックスは陶材を使用しているので、金属やプラスチックと比較して
・汚れが付きにくい
・変色しにくい
・膨張、収縮が少ない
・使用する接着剤が溶けない
等の利点が挙げられ、これらが見た目が良い、虫歯になりにくいと言われる理由です。
金属の詰め物は5年間で60%程度しか持たないとの研究があります。
その原因は金属の膨張収縮や接着剤の溶出により歯と金属の隙間が生じるためです。
再治療の際は虫歯を削るため、ご自身の歯が少なくなってしまいます。
一方でセラミックの詰め物は5年間で90%以上持つという研究があります。
残りの10%の原因はセラミックの破折がほとんどです。
もしセラミックが割れ、再治療になったとしても今よりも大きく削ることはありません。
みなさんは虫歯になったとき、どういった気持ちを持って治療しますか?
少なからずもう虫歯になりたくないと思っているはずです。
今後セラミック治療を検討している方、詳しく知りたい方がいらっしゃいましたら
お気軽にご相談ください。
2021年06月29日
こんにちは、歯科医師の熊澤です。
4月から新入社員が増え、かなり院内も賑やかになってきました。
今回は歯ブラシの毛の硬さの選び方についてお話します。
スーパーマーケットやドラッグストアには様々な硬さの歯ブラシが陳列されています。
みなさんはどの硬さの歯ブラシを使用されているでしょうか?
硬い毛の歯ブラシはしっかり汚れが取れそうだけど痛そう…
柔らかい毛の歯ブラシは歯茎に優しいけど、汚れが落ちるのか不安…
沢山あってどれを選んだらよいか分からない!という方もいるのではないでしょうか?
歯ブラシを購入する時に悩んでいる方もいると思うので「歯ブラシの毛の硬さ」に関する1つの研究データを紹介します。
研究内容は歯茎の傷と歯ブラシの毛の硬さ、年齢、性別、ブラッシング時間、歯茎の下がり具合、プラーク(汚れ)、ブラッシングの頻度の関連性を調べたものです。
結果としては歯ブラシの毛が硬いものと柔らかいものを一定期間(28日間)使用した口腔内を比較すると歯ブラシの毛が硬いほうが柔らかいほうと比べ、歯茎が傷つけやすく、歯茎が下がりやすいことも分かりました。
つまり歯茎を傷つけないためには、歯ブラシの毛は柔らかいほうが良いということになります。
ただし歯ブラシの毛が柔らかすぎると汚れが落ちにくいため、毛の硬さは 普通~柔らかめが良いです。
歯茎が下がってくると知覚過敏(しみる症状)が生じる可能性が高まるため、知覚過敏に悩まれている方や歯茎に痛みがある方は一度歯ブラシの毛の硬さに注目してみてはいかがですか?
もしどの歯ブラシを選んだらよいか分からないという方は遠慮なく当院スタッフに相談してみて下さい。
もちろんそれぞれの口腔内の状況に合わせてご提案させていただきます。
次回は「歯みがきとフロスはどちらが先に使用したほうがよいか」について説明していきます。