2022年12月24日
こんにちは、歯科医師の高橋です。
今回は口臭シリーズの第3回目になります。今回は『全身疾患と口臭』についてお話しします。
まず、口腔内の疾患と全身の疾患が関連しているというのはご存知でしょうか?
口腔内の汚れと誤嚥性肺炎の関連、歯周病と糖尿病・心疾患・早期・低体重児出産・慢性腎臓病・骨粗鬆症の関連など口腔内の健康状態がさまざまな全身疾患に関連することがわかってきています。
同じように口臭も全身疾患との関連があるんです。
具体的にいうと糖尿病・尿毒症・肝硬変・トリメチルアミン尿症などが原因で口臭が発生します。
その他にも消化器(胃や腸)に疾患があると口臭の原因になることもあります。
糖尿病では尿が特有な匂いになることはご存知の方もいるかもしれませんが、口臭もアセトン臭という特有の酸っぱい臭いになります。尿毒症ではアンモニア臭と言われる特有の刺激臭がしてきます。
このように全身疾患が原因の口臭は口腔内疾患(歯周病や舌苔、歯垢)が原因で発生する口臭とは臭いが違く特有なものがあります。
このように稀にですが口臭は全身からのサインとして現れていることもあります。
口腔内の環境を整えておくことで口臭の変化から全身疾患に気付けることもあるかもしれません。
全身疾患の予防・早期発見のために口腔内の環境を整えておくことはとても重要になります
。ぜひかかりつけ歯科医を探して定期検診を受けるようにしましょう。
次回は口臭シリーズ最終回『口臭の治療』についてお話しようと思います。
2022年12月5日
こんにちは、歯科医師の深谷です。
今回は、歯周病と全身疾患についてお話したいと思います。
歯周病とは細菌感染によって生じる炎症で、歯茎からの出血や、歯を支える骨を溶かして歯がグラグラ揺れ、やがて歯が抜け落ちてしまう恐ろしい疾患です。
30歳以上の成人の過半数が歯周病に罹患していると言われています。口臭を指摘された、朝起きると口の中がネバネバする、歯磨きの後に出血するなど、思い当たることはないでしょうか?
そんな恐ろしい疾患である歯周病は、お口の健康だけでなく糖尿病をはじめとする様々な全身疾患にも影響を与えること明らかになってきています。
歯周病の原因は、細菌の塊である歯垢です。
磨き残した食べカスを栄養に増加していきます。歯垢1mg中に、300種類1億個もの細菌が存在します。
想像するだけで恐ろしいですね。
歯垢中の細菌は、歯と歯茎の間の溝である歯周ポケット内に侵入し、炎症を引き起こし、歯茎の腫れや出血を生じます。
さらに細菌は歯周ポケット内の毛細血管を通過して血流にのり、全身に広がっていきます。各臓器で悪さをし、全身疾患を引き起こす原因になります。
また、歯茎で炎症が生じる際に、細菌から内毒素と呼ばれる化学物質が放出され、細菌と共に全身に広がり悪さをします。
歯周病が悪影響を及ぼす代表的な疾患として糖尿病があげられます。
糖尿病は、血糖値をコントロールするインスリンが充分に機能しないことで引き起こされる疾患です。
失明や腎疾患、神経損傷につながる非常に恐ろしい疾患で、日本に1000万人いると言われています。
歯垢中の細菌が放出する内毒素は、TNF-αと呼ばれる化学物質の産生を促進します。
このTNF-αはインスリンの作用を抑制するので、糖尿病の原因になります。
歯周病治療を行うことで、歯周病に起因するTNF-αの産生量を低下させ、インスリンの機能を改善し、血糖値のコントロールを良好にします。
適切な歯周病治療が、血糖値のコントロール状態を表すHbA1cの改善につながることが明らかになってきています。
その他にも、歯周病治療が様々な全身疾患のリスクを低下させることが明らかになってきています。
お口の健康を守るだけではなく、全身の健康を向上するためにも、定期的に歯科を受診することが大切です。
尾島デンタルクリニックでは、歯科医師の診断の下、トレーニングを受けた歯科衛生士が適切な歯周病治療を提供しています。気になる方は是非ご来院ください!